「壁」シリーズは「スペクトログラム」とあい前後して撮影を開始した。 

 アサヒカメラ誌(95年9月号)に6ページ5点を発表

  同誌翌月号「PHOTOSWATCHING写真を語る」

柳本尚規氏と今福龍太氏の対談で取り上げられた

   

柳本 ・・、「壁」は 目の存在感を印象づける 作品だと思います。さっ き今福さんがおしゃった ピクチャーとして見ても 興味深い。    

今福  これはなかなか 面白い写真ですね。古い 壁というのは何回塗り直 されているか解らない。 そういう意味で壁という のは表層のようで、奥に 常にぬり込められている 何かがある。この写真で も、明らかに時代や年代 の違うような感じの塗り 目とか境目がいぱい出て いて、表層の歴史性とい う、ちょっと矛盾したも のを感じさせる。 また写真自体にも、写真 の持つ表層の部分と写真 そのものが持つ深みとい 問題が常にあるわけで・ ・・ (抜粋 敬称略)

 

その後も撮りすすめ、96年新宿ニコンサロンで個展を開いた。

 

 展示 モノクロ銀塩プリント  大全紙他 30点


 写真展「壁」に合わせて 1996.5.14.発行

天地24cmx左右24cm  32 頁

写真点数30点

並製 表紙ラミネート加工

デザイン 藤田みどり

発行者 神村光洋

印刷 コーハン株式会社

UGRA/FOGRA/KOHAN Velvet Screen 20ミクロンダブルトーン

 定価 3000円

 

写真集「壁」についての感想

  神村さんが、ことさらに 怖く無気味なものとして 写されたとは思いません が、拝見していて、やはり怖いです。大型カメラ と、微細なグラデーショ ンによる描写は、隅から 隅までみていますと、全 てがアリアリと映り見え てきて、逆に、謎につつ まれてしまいます。 無人で、人間のイリュー ジョンだけが透明な痕跡 となっていて、やっぱり 怖いですね。 一枚一点とページをめく っていくと、どこか、都 市のレントゲン写真を擬 視しているような、倒錯 感におそわれてしまいま す。時間の持つ怕さでも ありますね   

           96.6.21.森山大道氏ハガキ 抜粋