日本カメラ2002年4月号写真展ガイド

 

駅前商店街と言われるような、日本全国にどこでもある街を1999年から現在まで、モノクロ35ミリでスナップ撮影しました。自動車で買いに行く大型安売店やコンビニなどの流通小売業の変化に対応出来なく閉店しや商店の建物___「戦後高度成長」といわれる時代の終わり、先の見えない現在の光景。

 

 新宿ニコンサロン

銀塩プリント

半切 40枚


2003年正月にアップした「photo-KAMIMURA ・ホームページ初号」に対する藤堂大二郎氏の批評エッセイ(抜粋)

藤堂氏のホームページ「からしら萬朝報」 http://karasira.la.coocan.jp/ からコピーした文章を掲載させていただいています


 

「不在を撮る」 2003/01/08 藤堂 大二郎

新年初の編集後記になります。あけおめ、ことよろ(^o☆)\baki!!

今年も年賀状がいっぱいきました。その中に友人のカメラマンからの ものがありまして、ご自分の写真でサイトを作られたというご報告が ありました。急いで見に行きました(^-^)

いいんです、この写真が。とどが勝手にこの方の一連の写真に名前を つけるとすれば「不在を撮る」ということになりましょうか。そんなこ とをお話する前に、ぜひ以下のサイトを訪れてみてください!!

「写真 神村光洋」 http://hw001.gate01.com/photo-kamimura/(今はアドレス変更しています 神村 注記

いかがでしたか。力のある写真ですし、なにか不思議な風景の写真だ と思われませんでしたか。ことに 第23回伊奈信男賞を受賞した「ZOO」 という写真は、不在の風景なのにそこに動物の存在のリアリティをむ しろ不在だからこそ感じさせる力があると感じます。

そして、不在であるからこそ感じさせるそのリアリティは、単なる動 物園の実写写真では表せない、見るものの心象風景における動物の意 味やさまざまな意味を投影してくる、そういう作品だと思います。

他の写真を見ても、家の不在であったり、人の不在であったり、街の 風景がみごとに切り取られています。これは写真を撮るということが ひとつの作品表現であり、しいていえばそれは、思想の雄弁な語り口 であると思わざるを得ません。こういう写真、好きですねぇ(^-^) …・・・・・以下略

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 写真集「不在を撮る」のタイトルについて

 

2021年、自作の初期からのシリーズをまとめて1冊の写真集にすることになり、タイトルを「不在の光景」にと考えたが、他ですでに使っていないかネットで調べたら、2012年に斎藤さだむ氏の写真展タイトルで使われていた(齋藤さだむ-不在の光景 = Sadamu Saito: the sights of absence いわき市立美術館)。光景の示す世界が神村と少し違うが、漢字・字面は同じなので総タイトルに使用するのは諦めた。

不在の痕跡、不在の記憶・・など考えたが今一つと息詰まっていたが、20年近く前、藤堂大二郎氏が名付けてくれた「不在を撮る」が浮かび上がった。2003年後のシリーズを加えた写真集でも、神村の写真を端的に表すのにぴったりであると考えて。藤堂氏の許可をいただいて、写真集タイトルに採用させていただきました。 

   神村 光洋

(神村写真集本文の中の章立てのタイトルでは「不在の光景」を、光景の意味もsightでなくsceneである事を示して使っています